【国会レポート】政権与党を担える党にしていくには【2016年5号】

私の地元の鴻巣には映画館があるので、たまに時間があると午後8時以降のレイトショーに行きます。今回、そのレイトショーで「シン・ゴジラ」(上映時間120分)を観ました。この映画では、政府は東京に突然出現したゴジラへの対処を迫られるのですが、感心したのは大災害や緊急事態が起こったときの実際の政府の対応がかなり正確に描かれていたことです。

たとえば、大災害や緊急事態が起こったら首相と担当閣僚は首相官邸地下にある危機管理センターで指揮を執ります。そのときは隣の広い講堂に、関係する役所の人々も集まり、首相や担当閣僚等の指示に従って各役所の人々がお互いに情報を共有しながら連携して動いていくのです。また、首相官邸の危機管理センターや有明の防災センターが使えなくなると、政府の機能は立川の広域防災基地に移されます。以上のシーンも映画では忠実に描写されていました。さらに、非常事態における日本と米国政府との関係もリアルに描かれています。

信頼感がないと政府はうまく動かない

ともあれ、この映画を観て改めて痛感したことがありました。政府与党の政治家が政府を滞りなく動かすには政界、役所、企業、学界のどこにどのような有為な人材がいるかをあらかじめ知っておくこと、かつそれらの人材を起用できるような体制にしておくことです。ただしその場合もまず、政治家は同じ与党の国会議員のことをよく知っておくべきでしょう。政府与党には衆参合わせて350人から400人くらいの国会議員がいるのですが、政府の運営をしっかりと行うためには、国会議員の数に頼るのではなく国会議員の間に信頼関係ができていなければなりません。

ではなぜ国会議員の信頼関係が大事なのか。実は理屈で解決できるような世の中の問題は役所の段階で処理できるため国会までは上がってきません。逆にいえば、理屈で解決できないような困難な課題が国会に放り込まれるのです。そこで国会議員が集まって論戦を行い、困難な問題を解決するための合意形成を図っていくわけですが、このときに欠かせないのが納得感です。これは国民すなわち有権者の納得感を高める交渉を国会議員同士で細かく積み上げていくということを指します。つまり、国会議員を選挙で国会に送り出してくれた有権者が、自分たちで選んだ議員が行っているのだからと納得してくれるような交渉を実現するということです。そうした交渉であれば、たとえ痛みを伴うような結論が出たとしても有権者は受け入れてくれると思います。

まさに、この納得感を高める交渉となるようにするためにこそ、国会議員の信頼関係が大事になってくるのです。では、その信頼関係をつくるためにはどうすればいいのか。これは国会議員同士がお互いのこと(能力や人柄、考え方など)をよく知るということです。党を超えてすべての国会議員同士がお互いのことをよく知っているというのが理想ですが、まず、党内の国会議員のほうが優先されます。

代表選によって国会議員同士の真の人間関係ができる

私たちは政府与党ではありませんが、政権を視野に入れるなら、今のうちから党内の国会議員同士がお互いのことをよく知り、信頼関係を築いておかなければなりません。そのために私が党内に提案しているのが、毎年代表選挙を行うということです(現在は3年に1度)。

代表選に立候補するには20人の国会議員の推薦人が必要ですから、立候補を予定している人は推薦人を集めるために他の国会議員に働きかけることになります。それで立候補したら、代表選で勝つために1票でも多くの票を得るべく支持者を集める活動に全力を挙げなければなりません。

いずれにせよ、代表選の過程ではさまざまな人間関係が生じるため、互いのことをよく知ることができるわけで、それは特に国会議議員にあてはまります。別の言い方をすると、各国会議員の能力や人柄、考え方に加えて思惑や本音、特に政治家としての欲も明らかになってきます。このことが政権与党になったときに生きてきて、政府与党のさまざまな人事に反映できるようになるのです。適材適所につながるわけです。たとえば首相なら、あの国会議員は地味な人柄だけれども、信頼できるし、各界に対する人脈が豊富なので、官房長官になってもらおうといった判断が容易にできるようになります。

毎年の代表選挙で常に人間関係を試す

毎年代表選挙を行えば、その都度人間関係が試されますので、本当の信頼関係を築く機会がそれだけ増えることになります。また、政治家として欲のある人は、常に国会議員を含めた関係者に気を配り始めますので、それによる党内の緊張感も1年なら高く保たれます。

また、毎年の代表選ならそれだけ人材登用のチャンスも増えることになります。チャンスが多くなると若手もどんどん台頭してきて党内の新陳代謝も進むでしょう。1年は短すぎるとの意見もありますが、それなら、代表が1年後に代表選を行わないように環境を整えるのも器量の一つと考えます。

もっとも、政権与党になったら毎年の代表選を行う余裕はなくなりますから、3年に戻してもいいでしょう。

結局のところ、政権の受け皿となりうる、党内外での信頼関係を築き上げた野党の存在が、国政全体に緊張感を与えるのです。