【国会レポート】政権与党としての責任感を常に心に刻んで【2010年5号】

2000年6月25日の初当選以来、毎月1回この国会レポート書き続けてきました。ちょうど今年の6月で10年が経ち、累計での発行はほぼ120回を数えます。

創刊以来ずっと心がけてきたのは、サラリーマンの視点で、わかりやすく私の活動をお伝えするということです。私自身がサラリーマンから国会議員になった経験から、できるだけ身近な言葉で、政局的なテーマよりも、私たちの生活実感に根ざした問題を取り上げ、丁寧にお知らせすることをモットーにこのレポートを続けてきました。

昨年の総選挙で政権交代が起こり、私も内閣府副大臣として政府に入りました。政府の一員として常に肝に銘じているのは、すべての責任は政権与党にいる自分にあるという自覚です。ですから、国会での野党の質問にも「君たちは与党時代にできなかったじゃないか」などという無責任な答弁は1回もしたことはありません。過去の経緯がどうであろうと、今現在に与党である自分が責任を負わなくていけません。もちろん、野党時代にも自分のことを棚に上げて与党に質問したことはなかったので、与野党が逆転した今の立場でも、野党側から「以前は別のことを言っていたじゃないか。今はどう考えているのか」という質問は一切ありません。いずれにせよ、自分が責任を負うという強い意志で答弁するというスタンスはこれからもしっかりと堅持していきます。

残念ながら鳩山政権は8ヵ月で倒れました。「この国のかたちを変える」。民主党政権を実現させて下さった国民からの期待に、何としても応えなければなりません。選挙によって選ばれた国民の代表が予算を編成し(国家戦略局)、政策を実現するために官僚を省庁横断的に適材適所で配置(内閣人事局)できるようにして、年金、医療、財政など日本が抱える難題の解決を図ろうとする民主党の統治機構改革は道半ばです。この統治機構の改革なしには我が国の諸課題は解決できないと考えます。これからもしっかりと取り組んでまいります。

国民のために最良の法案を追い求める

さて、7月の参議院選挙では与党が過半数を大きく割り込んでしまい、その結果、新しい政治状況が生まれました。つまり、衆議院では与党の議席が多いのに対し、参議院では野党の議席が多くなる、いわゆる「ねじれ国会」という局面になり、法案が通りにくくなったということです。しかも、与党は衆議院で3分の2以上の議席を持っていませんから、参議院で否決された法案を衆議院で再可決できません。予算以外の多くの法案が野党によって参議院で否決される可能性が出てきます。私は、状況がどのようであれ、これまで通り、国民にとって最良の道はなんであるかを念頭に国会での答弁をすることを改めて決心しています。

法案を作成するときにも、国民にとってどんな法案が一番良いのかを常に追い求めています。

昨年の内閣府副大臣就任以来、私が最も力を入れてきた公務員制度改革を例に挙げれば、その目的は、民間では当たり前に行われている人材マネジメントの仕組みを取り入れることで、真に適材適所の人事配置を実現することでした。政策課題は、既存の組織にあわせて発生するわけではありません。そのときの重要課題に合ったチームを、内閣が柔軟に組織できるようにすることが国民にとって必要だと判断し、私が中心になって法案を作成しました。

前回の通常国会に提出し、私も内閣府副大臣として衆議院で45時間、参議院で25時間の審議に臨みました。あと2日間審議できればこの法案も可決・成立したはずですが、残念ながらその前に国会が閉会したため廃案となりました。

公務員制度改革のロードマップでは、今回の法案は内閣人事局設置に絞ったものですが、今後、内閣人事局設置も含めて国家公務員全体のあり方を抜本的に改める法案を国会に提出すべく検討を進めています。

何としても近代的な人事マネジメントシステムを国家公務員の世界に定着させなければなりません。それによって、国家公務員が本来の能力を十分に発揮できる集団に生まれ変わり、国民にも国にも相当大きなメリットがもたらされるでしょう。

静かな革命 ~透明な政府の実現~

現在、来年度予算の策定作業を進めていますが、その前提として、行政の無駄を徹底的に省くことが不可欠です。

これまで、民主党の「事業仕分け」が国の事業について必要性の再定義や無駄削減に成果を挙げてきましたが、同じように各省庁においても事業の洗い出しが始まっています。これが「行政事業レビュー」というものです。各省庁が自ら事業を点検しながら、その結果を事業の執行や予算要求等に反映するもので、事業仕分けの内生化・定常化と言えるものです。

具体的には、5,500もの国の事業について、お金の流れや使い道を点検し、無駄がないか、本来の目的に沿ったものかを外部の目線を入れながらチェックする作業を行っています。

特に私のいる内閣府ではそれが最も進んでいると思います。内閣府ホームページを見てもらうと分かりますが、160の主要な事業が一覧表になったPDFファイルが以下のサイトに置かれています。

ファイルにはその事業について目的、支出金額、発注先などや改善点などが包み隠さずに可能な限り明らかにされています。また、国民の皆さんからの意見も募集しました。

こうした点検のプロセスを国民の皆さんに明らかにし、そしてチェックに参加していただくことで、無駄のない筋肉質の行政になるとともに、お預かりした税金の使い道について納得感を高め、それが国会議員と国民の皆さんとの信頼関係を再構築していくことになると考えています。

これまで各事業のお金の流れはほとんど明らかにされず、予算策定は対前年度比でのみ議論されてきました。野党時代は、予算編成にあたって個別事業に関して資料を請求しても、わかりやすい有効な資料はほとんど見ることができなかったのです。

昨年の政権交代後、外部からは変化があまり分からないかもしれません。マスコミもそのように報道していますが、実は以前の政権とは統治の仕組みがまったく変わってきているのです。

つまり、すべての情報を公開した上で政策の正否を議論していくことになりました。いわば透明な政府が実現されているのです。これは静かな革命とも言えるほどの画期的な出来事なのです。